――紫陽花――

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 本に集中しすぎていたようだ。女の子にぶつかってしまった……。  ……って、この子……さっきの図書委員? 「す、すみません」 「あ、いや、悪いのは僕だよ、周り見てなくて……」 「いえ、私が不注意でした。申し訳ありません」  そんなに謝られても……。  ふと辺りを見ると、僕とぶつかった拍子に落したのだろう、何冊もの本が散らばっていた。そして、彼女のものらしき眼鏡も落ちていた。  僕はその眼鏡を拾い、彼女に差し出す。 「ごめんね――って、水傘さん……?」  はじめて同じクラスになったし、教室では眼鏡をしていなかった気づかなかったけど……この子、同じクラスの水傘さんじゃないか! 「――えぇ、貴方は……?」 「僕は、君と同じクラスの雨見だよ。雨見準弥」 「あぁ――」  わかってくれたようだ。よかった、覚えていてもらえて。 「ごめんね、拾うの手伝うよ」 「あ、いえ、結構で――」  彼女が言い終わる前に、僕は何冊かの本を拾い上げていた。そんな僕を見て、彼女も本を拾いだした。 「――はい、これで全部かな」 「――ありがとうございます」 「いいって、僕が悪いんだから。今度から注意するね」
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