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別れ話がもつれたまま、季節は夏
すっかり会社には慣れ、夏休みが近く、上条さんも地方出張の数が減り、本社に出勤してきていた。
私は上条さんが出勤すると終始ご機嫌。
「あ、ボタン、ほつれてますよ?」
上条さんのシャツのカフスを指差し、そう声をかけた
「ああ、いい。別に」
実は、上条さん
市川さんとはまた違った無愛想な男。
「針と糸、あるんで必要なら声かけてくださいね」
なかなかそれでもめげない私。
「あ、俺もボタン」
「どうぞ」
隣の席にいた市川さんに、私は淡々と裁縫セットを手渡した
「お前、態度違いすぎだろ」
ばっ!!
声、大きすぎんでしょうが!!
「よ、良かったら、おつけしましょうか?」
焦ってそう苦笑いすると、
「え?イチも?
じゃあ俺も頼もうかな」
向かい側の席から上条さんがそう言った
え。
なにそれ
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