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全身が痺れて、呼吸の仕方も分からなくなるくらいの衝動だった。
見てはいけないーーーそんなことはバカでも分かる。
それでも、煌の視線は僅かに開いた隙間に向いてしまう。
ゆっくりと確実に煌は目を動かした。
意識と無意識の勝負ならば、完全に無意識の勝利だ……。
煌の好奇心が頂点に達した瞬間、窓の向こうの景色が垣間見える。
床に転がるお隣の巽郁が髪を乱している姿が目に入る。
そして、彼の鎖骨に噛り付く短髪の金色。巽が「いっ……た」と涙ぐみ、金髪に指を絡ませた。
相手は巽の首筋の血筋を舐めて顔を上げる。男だった。
とんがったような男は歪んだ巽の顔に微笑を浮かべている。巽はその微笑に極上の笑みを返した。
「キス……」
呟いた巽を喰らうように乗りかかっている男が唇を貪る。
巽はそれを受け入れる。
繰り返される口付けは煌の網膜に焼き付いた。
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