雪月花

4/5
前へ
/75ページ
次へ
びくっ、と身体が震えた。 「知ってるんだ……」 暗い笑みを見せる雪月花がまた微笑む。 「もちろんだとも。私は『裁定者』だからね」 「神の理を糺す者?」 「あぁ」 私、『愚者』《グラクシール》は愚かにも捕まったのだ。 味方であり敵の――『裁定者』《エクスシール》に。 「もうこの世界は要らないと裁定したんだよ。グラクシール」 制服姿のエクスシールは腕を組んだ。 椅子に座っている私は見上げる。 「愚者にはまだ必要だけれど」 呟いて立ち上がる。真新しい制服がばさばさっ、と揺れた。 「一緒に来てくれるかい?『愚者』」 手を差し伸べた雪月花を見上げる。意外にも身長がある。 「正気を失った断罪は飽きたのよ、『裁定者』」 雪月花がにやっ、と唇を歪めて笑った。 「前代の話か?大丈夫、『断罪者』には話を通してある」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加