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びくっ、と身体が震えた。
「知ってるんだ……」
暗い笑みを見せる雪月花がまた微笑む。
「もちろんだとも。私は『裁定者』だからね」
「神の理を糺す者?」
「あぁ」
私、『愚者』《グラクシール》は愚かにも捕まったのだ。
味方であり敵の――『裁定者』《エクスシール》に。
「もうこの世界は要らないと裁定したんだよ。グラクシール」
制服姿のエクスシールは腕を組んだ。
椅子に座っている私は見上げる。
「愚者にはまだ必要だけれど」
呟いて立ち上がる。真新しい制服がばさばさっ、と揺れた。
「一緒に来てくれるかい?『愚者』」
手を差し伸べた雪月花を見上げる。意外にも身長がある。
「正気を失った断罪は飽きたのよ、『裁定者』」
雪月花がにやっ、と唇を歪めて笑った。
「前代の話か?大丈夫、『断罪者』には話を通してある」
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