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だが、筋力の面ではなんら問題がなさそうだ。
なぜならフィルゴは学院一の怪力だからだ。
その強さは中級騎士にも勝るとも劣らない程である。
現にハルバードを渡されても特に顔色を変えるわけでもなく、軽々と持ち上げている。
「初めて持つのにしっくりくるな!」
「フィルゴ!後ろの連中はどうしてた?」
「あぁ、まだ誰も気づいてないみたいだったぜ?それで副隊長に報告したら『隊長の指示を待て』だとよ!」
右手を顎に当て、再び考える素振りを見せるフレイン。
「ここで待つのもなんだしな。俺達から指示を聞きに行こう!」
「そうだな、そうするか」
フィルゴは隊長のいる前方に向かって歩き出そうとするが
フレインが「ちょっと待ってくれ」と言う。
「俺もなんか武器貰ってくぜ!」
荷馬車を物色して取り出したのは長槍だ。
柄の部分は俺の持つ直剣の鞘と同じ黒色。
先端の刃は白銀で十字型。
長さは二メートル半くらいだろうか。長身のフレインの身長をゆうに越えている。
「コレでいいかな?槍の中じゃ一番使いやすそうだし」
よっと、と呟きながら荷馬車を降りる。
「いやいやいや、待てってお前ら!?その格好で隊長のところ行ったらヤバイって!」
荷馬車を物色した挙げ句、上級騎士の装備をくすねたとバレたらヤバい。
せめてフレインの鎧だけでも……!
「三人で行けば大丈夫じゃね?」
……何が大丈夫なのか説明してみろ、フィルゴ。
「なんとかなるって!」
ダメだ、何を言っても聞きはしない。
やむなく三人で隊長のところに行くことになった
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