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雨の音で気がつかなかったが、前に進むたびに、怒号が飛び交っているのが聞こえてくる。
「本当に戦闘が起きてるのか……?」
「だろうな、ここまでハッキリ聞こえたら否定できないしな」
フレインが並走しながら呟くように答えた。
「もし戦闘が起きてたらどうする?」
素っ気なく二人に聞いてみた。だがそれは愚問だったようだ。
「加勢するに決まってる!」
「助けるに決まってんだろ!」
言葉は違えど、二人は戦うと高らかに宣言した。
そして彼らはいつものように互いに顔を合わせニッ、と笑いあう。
コイツらといれば、なんだかなんでもできそうな気がしてくる。
竜騎士を倒すことだって不可能ではないと思えてきた。
そうだな、俺も覚悟を決めよう
「よし!行こう!!」
俺たちは駆け出した。
その時、前方から“なにか”が吹き飛ばされて、目の前に転がった。
転がった“なにか”を見て、それが学院の生徒の死体だと認識するのに、数秒かかった。
同時に、改めて認識させられた。ここはすでに戦場なのだと。
戦場とはシンプルだ。強い者が生き残り、弱い者は例外なく死ぬ。
それを意識してしまった。
もしかしたら次は自分の番かもしれない。
そう思うと足がすくみそうになる。
だが堪えた。
思い出せ!俺なら、俺たちならなんでもできるはずだと、今までもそうだったように今回もなんとかなるはずだ。
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