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「分かった、すぐに向かおう。竜騎士が何体いるか分かるか?」
「…三……体です……」
騎士は、目を瞑った。もう限界なのだろう。
「…貴方に…御武運の……あらんことを……。」
そして力尽き事切れた。
フレインは無言で立ち上がり、王国式の敬礼をした。
「……行こう。すこしでも時間稼ぎして後ろのやつらを遠くに逃がそう」
そういうフレインは歩を進めた。その目には並々ならぬ決意が秘められている。
「ウェルト、これ持ってけよ」
フィルゴが差し出したのは円盾だ。
青いカラーに、王国のシンボルである白銀の向かい合う獅子の紋章が刻まれた金属製の盾だ。
それを無言で受け取り、左腕に装備する。
そしてフレインの後を追った。
雨が弱まり視界がすこし広がる。
「立てるか?」
「……!?…はっ!この命が尽きるまで戦います!!」
いま、フレインは前方へと進む途中にこうして騎士をかき集めている。
上級騎士の鎧が役立ち、数は少ないものの、十数人の士気の高い部隊が出来上がりつつある。
だが、不思議なことに誰も気づかない。フレインは、実はただの学生だということに。
「いかがいたしましょう?」
「隊列を組め。盾を持つものは前に、その後ろに槍隊を配置しろ。前線を立て直す」
「はっ!」
もはやフレインの指示する姿は上級騎士のそれだ。疑う余地がない。
「詳しい敵戦力の分かる者はいるか?」
フレインが呼び掛けると一人の騎士が前に出た。
「竜騎士が三体と歩兵が六十人ほどです!対してこちらは奇襲により三分の一ほどが死傷、残りの者は前線で戦闘中だと思われます!!」
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