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「後ろで隊列組んで態勢を建て直してるんッスよ!隊長たちも加わってください!!」
茶髪の少年は敵と剣を交えながら言う。
そこに先ほどの赤髪の少年が敵に体当たりをし、体勢を崩した。
崩れたところを茶髪の少年がすかさず凪ぎ払い、崖に突き落とす。
学院の中等部にしてこの技量、連携。
もはや実力は並みの中級騎士か、それ以上といったところか。
「俺たちなら大丈夫です!お早く!!」
「だがしかし……」
いくら実力があっても実戦経験の乏しい学生を……
「んぁぁああ!めんどくさい人だな!天下無敵のフィルゴさんに任せてさっさと下がってください!!」
この勇ましさに、かけてみるか?
「お前たち、後で説教だ。だからそれまでは生き残れ!!」
私は身を翻し、部下たちと共に後退した。
少年たちの十メートルほど後方には王国騎士たちが隊列を組んで少しずつ前進していた。
すぐ目の前まで来ると隊列の中ほどから左右に割れ、道ができる。
いったい誰が指揮を?後方にいた副隊長か?
「ご無事でしたか!」
声のする方向を見ると、漆黒の鎧を纏った一人の騎士が現れた。
いや、まて。
《漆黒の鎧》?馬鹿な!?上級騎士がなぜこんな場所に?!
「貴方はいったい?」
「私は勅命を受け、極秘文献を届けに単独で砦に向かっていたのだが、悲鳴が聞こえたものでな。こうして馳せ参じたわけだ」
何はともあれ、上級騎士が来たならこの戦いも早急に終わるだろう。
「では、なんなりとご命令を」
「ならこの場の指揮を任せる。少しずつ前進しながら味方の救助、及び敵の撃滅を遂行したまえ」
「なっ!?私がですか!」
「そうだ。元は君の部隊だろう?なら私より勝手も知っていよう」
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