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俺たちが進んでいる地点はユースティア王国領の南西に存在する険しい山岳地帯。このまま予定通りに進めば、あと三時間ほどで前線にある城塞にたどり着く。そこに、今運んでいる大量の補給物資を届けて今日の仕事は終わるはずだ。
現在進んでいる道は、道幅が十メートルくらいだろうか。沢山の積み荷を運んでいる馬車のとなりを人が数人通れるくらいの広さだ。
そして向かって右側は切り立った絶壁。恐らく登るのは無理だろう。
左側は急な斜面。降りれないことはないだろうが、その下に広がり生い茂る樹海には強力な『魔物』がウジャウジャと徘徊しているらしい。
間違って足を踏み外したら命の保証はできない。
それにしても今日の天気は最悪だ、空全体に広がる灰色の曇り空。
それだけならまだ良かった。なぜなら今日は、霧だからだ。視界が悪く、小さな水の粒子が肌にまとわりつき、非常に気分が悪い…。
だが、気分が悪いのは霧のせいだけではない。
半刻ほど前から感じている『嫌な予感』が当たらなければいいが…
「おーいウェルトー!うかない顔してどーした?お前らしくねえな。」
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