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「ところで他の竜騎士はどこだ?一騎しか上空には見えんが…?」
上級騎士は顎に手をあて、空を仰ぐ。
「はっ!恐らくこの戦場にこれ以上の価値を見いだせず、撤退したものだと思われます」
「随分と舐められたものだ。まぁ、多少といえど戦況が良くなったことに変わりはない。だが我々の残存兵力はおよそ四十、相手は残り五十といったところか……。まだ気を抜けんな」
状況を的確に分析する。だが一つ、情報に誤りがあった。
「その情報について、少し訂正があります」
「なんだ?」
「私はあの場に残り、敵を二十以上は斬りました、七人の部下も少なからず十以上は斬ったでしょう」
「増援が来たのか…。どうしたものか……」
再び顎に手をあて、思案する。
「愚策ながら私に案があります」
上級騎士が目で促すのを確認してから、話を始めた。
「馬車を引いていた馬を使うのはどうでしょうか?軍馬より機動力は劣るでしょうが、雑兵程度なら蹴散らせるでしょう」
「なるほど…。たしかに良い策ではあるが、兵力が足りない。この場にせめて三十は残したいのだが、そうすると騎兵は十しかいない。せめて、あと二十いれば逆転も難しくないだろうが…」
やはり、無理な話だったのだろうか。
だがこのまま隊列を組み、進めていると、再び竜騎士が戦場を掻き乱すだろう。
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