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~~斧愴を振るう剛腕の少年~~
「っらあ!!」
斧愴を振るうたびに、相手をなぎ払っていく。
隊長たちと別れた場所からさらに三十メートルほど切り進み、再び騎士の集団を撤退するのを手助けしたところだ。
「大丈夫かフィルゴ!!」
声をかけるウェルトの勢いは凄まじく、盾で弾き、受け流しつつ剣を敵の体に深く沈める。
白く輝く剣が血で赤く染まっていた。
「あぁ!余裕綽々だぜ!!」
頭を斧愴でヘルムごと叩き、怯んだところをすかさず首にめがけ突きを放つ。
心臓を狙い、突かれた槍を左腕のガントレットで強引に軌道をずらし、無防備になった相手をなぎ払う。
普段は重くて邪魔だと邪険にしていたガントレットだが、実戦では思った以上に役に立つ。
と思っていたら、敵の一人が武器も持たず、突っ込んでくる。
武器を持っていないことに気をとられ、斧愴の切り返しが間に合わず、タックルされる。
しかも、腰の辺りをホールドされ身動きが取れない。
「クソッ!!放せよ!!」
左腕の、肘の部分のガントレットで相手の首筋をおもいっきりどつく。
怯んだ相手は一瞬だけ腕を緩めた。そこを見逃さずに顔を殴り、腹部を蹴り上げ、手を離したところで敵の集団に向かって蹴り飛ばす。
そいつは何人かを巻き込みながら倒れた。
その直後、左前方から迷いなく首に向かって放たれた一筋の剣が、迫る。
「チィッ!」
左の腰に差してある学院の直剣を、逆手の状態のまま左手で引き抜く。
相手の剣が直剣の上を滑り、虚空を切る。
切り上げた直剣でそのまま接近した相手の肩を抉る。骨のところで剣は止まった。
痛みで奇声を上げる男にフルスイングで斧愴をお見舞いして、崖から突き落とした。
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