悪夢#砕けた剣

9/12
前へ
/47ページ
次へ
~~斧愴を振るう剛腕の少年~~ 「っらあ!!」 斧愴を振るうたびに、相手をなぎ払っていく。 隊長たちと別れた場所からさらに三十メートルほど切り進み、再び騎士の集団を撤退するのを手助けしたところだ。 「大丈夫かフィルゴ!!」 声をかけるウェルトの勢いは凄まじく、盾で弾き、受け流しつつ剣を敵の体に深く沈める。 白く輝く剣が血で赤く染まっていた。 「あぁ!余裕綽々だぜ!!」 頭を斧愴でヘルムごと叩き、怯んだところをすかさず首にめがけ突きを放つ。 心臓を狙い、突かれた槍を左腕のガントレットで強引に軌道をずらし、無防備になった相手をなぎ払う。 普段は重くて邪魔だと邪険にしていたガントレットだが、実戦では思った以上に役に立つ。 と思っていたら、敵の一人が武器も持たず、突っ込んでくる。 武器を持っていないことに気をとられ、斧愴の切り返しが間に合わず、タックルされる。 しかも、腰の辺りをホールドされ身動きが取れない。 「クソッ!!放せよ!!」 左腕の、肘の部分のガントレットで相手の首筋をおもいっきりどつく。 怯んだ相手は一瞬だけ腕を緩めた。そこを見逃さずに顔を殴り、腹部を蹴り上げ、手を離したところで敵の集団に向かって蹴り飛ばす。 そいつは何人かを巻き込みながら倒れた。 その直後、左前方から迷いなく首に向かって放たれた一筋の剣が、迫る。 「チィッ!」 左の腰に差してある学院の直剣を、逆手の状態のまま左手で引き抜く。 相手の剣が直剣の上を滑り、虚空を切る。 切り上げた直剣でそのまま接近した相手の肩を抉る。骨のところで剣は止まった。 痛みで奇声を上げる男にフルスイングで斧愴をお見舞いして、崖から突き落とした。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加