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そこまで考えたところで急に隊列が止まった。
だが、このような出来事はもう慣れていた。
行軍中に荷馬車の車輪が外れたり、怪我人が出たりしたらこのようにして止まるのだ。
「おいおい、また止まったのかよ!今度は何が起きたんだ?」
とフィルゴが少々不満そうに愚痴る。
一方で
「まあ、休憩できるからいんじゃねーの?」
とフレインは呑気に答えながら止まった荷馬車に腰を掛けた。
俺もフレインにならい、隣に腰を掛けようとした瞬間、頬に冷たいものが当たる感覚がした。
「……雨…か?」
呟いた直後にそれは少しずつ大きくなり、音をたてて降り始めた。
幸いどしゃ降りとまではいかなかったようだ。
外で立っているフィルゴに荷馬車の中に入ることを勧めようとしたが、
「おい、なんか聞こえてこねぇーか?」
と少し真面目な顔で尋ねてきた。
俺は神経を研ぎ澄まし、集中する。
最初は雨の音しか聞こえてこなかった。
しかし、なにかが聞こえた。
それはあまりにも遠いところからだったので、よく聞き取れなかった。
もう一度、集中する。
微かにだけ聞き取れた。
それは…、
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