希望

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思った以上に広い浴槽だった。 「うーん……」 思わず声に出る。 これほど寛いで湯船に浸かるのは久しぶりだ。 公衆浴場では身体を洗い、少しの間、湯に浸かるだけで手足を存分に伸ばせなかった。 誰にも気兼ねなく心身を解放する場所は実は風呂場であるかも知れない。 それにしても……彼女は、どうして此れほど無防備に私を助けてくれるのだろう? 女性は、男と比べれば驚くほど社交的で世話好きの一面がある。だが、同時に警戒心も強い。 それは安定した生活を守り、維持する為に必要な警戒心だ。 にも拘わらず、彼女は初対面の私を部屋に通した。 普通に考えれば、あり得ない事だ。 なんという幸運だろう。 自分の人生は、思わぬ不運に翻弄されて、それほど長くはないと覚悟していた。 日本では年間、三万人以上の自殺があるという。 アメリカの2倍、イギリスの3倍に上るという。
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