希望

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窓を、そろそろと開けてみた。 何の種類か知らないが、常緑樹の枝が風に揺れている。細長い葉っぱが、優美にそよいでいる。 植物を、こんなに間近に目にすることがあっただろうか? あったにしても見てはいなかった。 そんな心の余裕が無いままに、ぎりぎりで生きて来た。 人は窮地に追い詰められると、そんな、ささやかな季節の彩りさえ楽しめないのだ。 不意にユニットバスのドアが開けられて風が入った。 「えっ?」
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