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「急にって……」
思いもよらぬ行動に唖然として、私は、うまく言葉にできない。
「なによ。嬉しくないの? こんなに磨きあげた、いい女が背中を流してあげるって言ってるのよ?」
「い……いや、それは嬉しいけど。なんて言うか……あんまり幸せで言葉が出なかった」
「うっふふ……そうでしょ? それでいいの。男と女はね。ベッドだけではなくて、もっといろんな場面で仲良くした方がいいの」
祥子は振り向いて微笑んだ。
「そうしないと駄目になっちゃうの」
「ふむ……そういうものかな?」
私は天井を見ながら相槌を打った。
「ええ。そういうものなの」
それを、夫婦生活の破綻から学習したと彼女は言いたいのかも知れない。
祥子は腕を伸ばし、窓を閉めた。
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