彷徨

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そうして稼いだ金で温かい食事を摂り、風呂に入った。 深夜の勤務の時は公園で、昼間の勤務の時はネットカフェで睡眠をとった。 暫く経って、被災者には支援金が支給されると聞いたが、今更、避難所へ戻る気にはなれず、短期労働を続けながら転々として来た。 これらの経緯を、女性は涙を浮かべながら聞いてくれた。 「本当の事を言えば、少し疲れました」 私の、この言葉は同情を買うように聞こえたかも知れない。 「ええ。そうよね。可哀想に。大変だったわね。しばらく、ここに居なさい」 「えっ? いいんですか?」
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