*one*

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私が会社に行く道。人通りが少ない一本道に、彼はいつもいる。 何故だかいつの間にかその人に恋をしていた。 彼は毎日、一本道の道端の花壇の花たちに水をあげている。 その健気な姿に心を奪われた。 毎日、一日も休まずに花に水をあげていて、その後はじーっと花を見つめ、ふっと笑う。 その笑顔は本当に幸せそうで、見ているこっちまで笑顔になってしまう。 そんな彼に、今日私のこの胸の内に秘めた思いを打ち明ける。 そう決心し、いつものようにその一本道を通った。 やっぱり彼は花に水をあげている。花の種類は色々あるけど、その中で一番多いのがパンジー。 私も小さい頃からパンジーが大好きで、今も携帯にパンジーのストラップがついている。 高まる緊張の中、足を彼の居るほうへ向けて一歩踏み出す。 近付くにつれて鼓動が速くなっていくのが自分でも分かるくらいだった。 彼の背後まで来たとき、思い切って声をかけた。 「あ…あのっ…」 名前も知らないその人は不思議そうにこちらに振り返る。 「…………え?」 彼の第一声はそれ。私は意外な反応に一瞬戸惑い、黙ってしまった。 すると、 「…俺が見えるの?」 ………は? .
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