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「そういえば名前は?」
「あっ…私、山崎 誠……って言います」
杉本さんは髪を弄びながら
「ふーん。まこと、かぁ…。へぇー、ほーぉ……」
なんだろ、『ふーん、へぇー、ほーぉ』って。興味があるのか無いのか。
「杉本さん。ちょっと移動しませんか?」
彼はめんどくさそうに顔を歪ませ、
「幽霊だって疲れるんだよねー…」
なんて呟きながらもちゃんとついてきてくれて、たどり着いた私の会社。
会社名は…、そう……。
「『stand up』かぁ…。中々ネーミングセンスあるじゃん、誠」
感心したフリをしながら今にも吹き出しそうな顔でこちらに目をやる杉本さん。
「…………私がつけたネーミングじゃないんで」
わざとさらっと言ってのけた。
すると杉本さんはつまらなそうに
「誠は冗談が通じない体質?アラアラ……」
何が『アラアラ』なんだか。おばさんの世間話みたいに手を口に当てちゃって。
顔はカッコイイのに………。なんていうか、性格はユニークな一面もあるみたい。
まあ、幽霊ってだけで私の中では恋愛対象じゃなくなったけど。
…………といっても杉本さんの美しすぎる顔を見ると、一目惚れなんて当たり前だな、って実感する。
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