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「っていうかさ、何で誠の会社に来たの?」
いきなり呼び捨て……。
まあそこには触れずに会話を進める。
「別に。だって私、今日仕事あるんで、あのまま話してると遅刻してしまうので来ただけです」
杉本さんは難しそうに「んー」と唸ってから
「………敬語やめて」
真顔で言われた。
その表情にドキッとしたと同時に、恐怖も1ミリほどおぼえた。
「杉本さんは何歳なんですか?歳上でしょ?」
「二十四。あと、杉本さんってやめて。春海って呼んで」
お次はニッコリと笑ってそう私に頼む彼。
「私、二十二なんです。年下なんで、敬語でいきます。ため口なんて失礼極まりないですよっ」
「誠って学級委員だったでしょ?」
突然、話が変わり、ガクッとする。
「学級委員を務めたのは一年だけです」
「いや、見事だよ」
「…ありがとうございます」
私も何でここでお礼を言ってるんだか。
「杉本さんって…「春海」
ものすごいスピードで話の邪魔をしてくる。
「杉本さんじゃなくて、春海。あと敬語やめて」
「……じゃあ春海で。でも敬語は使わせてもらいます」
「…百万歩譲って良いとしよう」
百万歩って、一体何歩譲ってるんだか。
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