ニュースという名の始まり

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(まさか徹夜する羽目になるとは…疲れた) 大学に提出するレポートに案外手こずり、時刻は既に朝5:00。睡魔はドーパミンがやっつけたせいか、ランナーズハイ、あるいは賢者モードに近い感覚だ。 (講義は11時からだから…) 今すぐ寝るか、このまま起き続けるか、この二択に迫られる。 (………起きるか) 今寝たら今日中に起きれる自信はなかった。 (シャワーでも浴びよ…) 家族は当然まだ全員寝ている。俺は起こさない様に静かに階段を下り、風呂場に入った。 「ふ~」 水が張ってあったので、急遽予定を変更し、追い焚きをして風呂に入った。そのおかげで、身体的にも精神的にも大分落ち着いた。 冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、横にあった多分妹用の菓子パンを1つ奪う。ソファーに座ると、腹ペコになった胃に菓子パンを放り込みながら机にあったリモコンでおもむろにテレビの電源を着けた。 「ニュースか…」 番組切り替えボタンを押す。 (これもニュース…) 再度押す。 (またニュース…) テレビの電源を切り、玄関に向かう。 …ガチャン 郵便受けから新聞を取り、裏返す。 (…あれ?ニュースじゃない…) 今なら通販番組がやっている時間のはずだ。 (なんかおっきな事があったのかな…) 再びリモコンでテレビの電源をつけ、ニュースに耳を傾ける。 「………繰り返しお伝えします。先程起きた渋谷無差別虐殺事件の容疑者と思われる人物が映った防犯カメラの映像を警察が公開いたしました」 するとニュースキャスターから防犯カメラの映像に切り変わる。 「現在確認された映像によると、犯人は男女二人組とされていますが、現場に居合わせた人達の情報によると、複数犯だったという供述もあり、警察は随時情報の提供を…」 「…俺?」
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