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「は~」
西島が隣で溜め息をもらす。
「どうしたよ?」
「いやな、漫画やアニメならここでヒロインが登場して「なに道中で漫才やってるのよ」とか突っ込みが入るだろう?」
生憎そんな存在はいない。
「というと?」
「彼女が欲しい」
「無理だな」
「即答!?」
西島は俺を含め、男と話す時は普通なのだが…
「お前女と話せないじゃん」
そう、本人曰く、女を前にすると話す話題が全く分からないとの事だが、俺から見たら只のヘタレである。
「だ、か、ら、お前がフォローしてくれよ…お前普通にはなせるじゃん」
男と女の違いなどあれが付いてるか付いてないかの違いだと思えば楽なものだが。
「ん?なに、お前気になっている奴でもいんの?」
「実はよ…」
…西島との漫才を続けていると、目前に大学の入り口が見えてくる。こいつとのちちくりあいももうすぐ終わる。後に待っているのはつまらない大学の講義だけだ。
「…おい、聞いてるのか?」
「聞いてるよ。要は、ドン、と」
不意に肩がぶつかってしまい、少しよろける。
「すいませ…」
謝るため、後ろを向く。
「…え?」
目の前には崩れ落ちる男と飛び散る赤い鮮血。
キャアァァーーー!!!
近くにいた女生徒の悲鳴が聞こえるまで、俺は目の前で起きた現実を認知する事が出来なかった。
「…だ、大丈夫で」
男の安否を確認しようとするが
「……………」
確認するまでもなかった。男は右頭部がなくなっていた。
「お、おい!逃げるぞ!」
西島は俺に逃走を促す。回りも完璧にパニック状態で、先程の悲鳴を皮切りに周りにいた生徒も蜘蛛の子を散らす様に逃げ始めていた。
「わ、分かった」
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