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「はぁ…はぁ…」
「おい、大丈夫か?」
西島が逃走を促したくせに先にバテている。
「やっぱもう少し運動すべきだな…お前は大丈夫か?」
「あぁ…走ってる間に落ち着いた」
結局もといた道を辿り、最寄り駅まで戻ってきてしまった。
「どうするよ?」
「どうするって言われても…家に帰る」
「大学は…どうせ休みになるか。て、おい、電車じゃねえのかよ?」
「あの混雑に耐えれるならどうぞ」
駅のホームを指差す。
ただでさえ小さい駅に人の塊が押し寄せている。
「………割り勘頼むな」
「はいはい…タクシー」
右手を挙げると、近くにいたタクシーがすぐに横につけ、扉を開ける。
「何処までですか?」
「………(←自宅の前)までお願いします」
「はいはい」
運転手はメーターを起動し、車を走らせる。
「…おい」
タクシーが走り始めてから10分。携帯をいじっといると、痺れを切らしたのか、西島がメモ帳を渡してきた。目の前で運転している運転手を考えての配慮だろう。
↓以下筆談
「大丈夫か?」
「何が?」
「死体」
「案外大丈夫だった」
意外にもグロ耐性があったらしい。
「ちょっと現状を把握しようぜ」
「狙撃銃で射殺されかけた。以上」
一言で終わった。
「その考えに至った経緯を詳しく」
(え~めんどくせ…)
言うのは簡単だが、字で書くとなるとこれまためんどくさい。
…しぶしぶシャーペンを走らせ、先程の考えに至った経緯を書く。
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