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「はい」
長々と書いた根拠を手渡す。
「拳銃の有効射程距離はおよそ50m。当然撃てば発砲音が聞こえるはずだけど、それらしき音は聞こえなかった。それに、拳銃の弾ごときじゃ、あの頭の吹っ飛びかたはありえない。よって、拳銃が使われたとは考えにくい。頭部への外傷と命中精度を考えれば、7、800mの距離から狙撃銃で狙われたと考えるのが妥当だと思う。あと貧乏ゆすりやめろ」
西島は直ぐに読み終え、貧乏ゆすりを止めた。
「やけに詳しいな」
もう必要がないと感じたのか、口答で言ってくる。
「あ、言ってなかったっけ?俺サバイバルゲームのサークルに所属してるんだよ」
「あぁ…なるほど」
(また貧乏ゆすりしてるし)
こいつは深く考えるとかならず貧乏ゆすりをする。
(寡黙な運転手だな…)
「あーわからん!」
突如西島が吠えた。
「なにが?」
「理由だよ!?」
「そんなの俺もわからん」
嘘だ。一つ心当たりがある。だからひたすらスマホをいじくって情報を集めている。
すると
「…酔った」
自分が乗り物にめっぽう弱い事を忘れていた。
「え?大丈夫か?」
「ちょっと話しかけないでくれ」
………右手にビニール袋を持ちながら吐き気と格闘すること約1時間。
「お客さん、着きましたよ」
(俺は勝った…)
なんとか吐かずに家の前に到着した。代金を割り勘で払って、直ぐに外に出る。
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