第一章:夢の始まり

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隆盛は楢橋に病状を伝え、薬を手渡した。 「これをきちんと飲めば必ず治りますから安心してください」 「でも、ちゃんと栄養をとれた食事を心がけて下さいね。これ簡単に作れて栄養がたっぷりとれる料理をお母さんと考えたんです。よかったら作ってみてください」 そう言うと彩未は一枚の紙を取りだし、楢橋に渡した。 楢橋は安心したようにほっとため息をついた。 「そうですか、本当にありがとうございました。嬢ちゃんもありがとなぁ。 ほれ、これは約束していた本じゃ」 楢橋は彩未に古い本を二冊手渡した。 「ありがとうございます。大切にしますね」 彩未は嬉しそうに笑い、大事に二冊の本を鞄の中にしまった。 「では、私たちはこれで。また来月に来ますね」 隆盛は箱を抱え、彩未はトランクを持ち二人は楢橋の家をあとにした。
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