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車に向かう途中、彩未は楢橋にもらった一冊がとても気になっていた。
トランクを片手にバックからその本を取り出した。
表紙は古くなっていて、『日記』という文字しか読めない。
しかしこの本は直筆であることがわかった。
彩未は惹かれるようにその本の一ページ目を開いた。
その瞬間その本から彩未に大量のエネルギーが流れ込むような感覚に陥った。
(なっ…なに?体が熱い…この本っていったい……)
「おっ!パトカーの音だな。珍しい」
向こう側から一台の車とパトカーが物凄いスピードで走ってきているのが見えた。
「こりゃ、危ないな。彩未!早く渡れ!!……彩未?」
隆盛は彩未に向かって叫んだ。
しかし彩未は体が動かず、ただ道路の真ん中にただずんていた。
隆盛は嫌な予感がした。
(体が…動かない……お父さん!!)
隆盛は彩未を引っ張ろうとしたが、あと一歩のところで手が届かなかった。
「彩未ぃぃぃぃ!!!!」
車が迫ってきているのが見えた。
目の前が真っ暗になり、隆盛の声と車のブレーキの音だけが耳に残っていた。
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