第一章:夢の始まり

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車に向かう途中、彩未は楢橋にもらった一冊がとても気になっていた。 トランクを片手にバックからその本を取り出した。 表紙は古くなっていて、『日記』という文字しか読めない。 しかしこの本は直筆であることがわかった。 彩未は惹かれるようにその本の一ページ目を開いた。 その瞬間その本から彩未に大量のエネルギーが流れ込むような感覚に陥った。 (なっ…なに?体が熱い…この本っていったい……) 「おっ!パトカーの音だな。珍しい」 向こう側から一台の車とパトカーが物凄いスピードで走ってきているのが見えた。 「こりゃ、危ないな。彩未!早く渡れ!!……彩未?」 隆盛は彩未に向かって叫んだ。 しかし彩未は体が動かず、ただ道路の真ん中にただずんていた。 隆盛は嫌な予感がした。 (体が…動かない……お父さん!!) 隆盛は彩未を引っ張ろうとしたが、あと一歩のところで手が届かなかった。 「彩未ぃぃぃぃ!!!!」 車が迫ってきているのが見えた。 目の前が真っ暗になり、隆盛の声と車のブレーキの音だけが耳に残っていた。
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