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(江戸、試衛館…間違いない。ここは『江戸時代』だ。私、死んだと思ったのにタイムスリップしたっていうの…?)
彩未はまだ状況を呑み込めずにいた。
しかし自分が江戸時代に来てしまったことは、紛れもない事実だということはわかった。
彩未が考え込んでいるとスパーンと勢いよく襖が開いた。
中に入ってきたのは、先ほどの少年とがっしりとした体型の男の人だった。
「目が覚めたんだな、よかったよかった。私は近藤勇だ。周助先生と一緒にこの道場をやっている。
君はどこから来たんだい?親御さんが心配してるんじゃないのかい?」
彩未は正直この質問にどう答えるか困った。
だが未来から来たなどとも言ったって信じてもらえる筈がない。
彩未は咄嗟に嘘をついた。
「遠いところから来ました。親はいません」
嘘だとバレないように目を逸らさずはっきりと言った。
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