326人が本棚に入れています
本棚に追加
(ぁ…み、……やみ)
……私の…私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
悲しみと愛しさが入り混じったような切ない声…。
―私はこの声を知らない。
――ジリリリリリッ、ぱん
「ふわぁ~、よく寝た」
少し癖のある明るい茶色の髪と、パッチリとした目が印象的なまだ幼さの残る顔立ちの少女。
窓からは日が差し込み、彼女の部屋全体を照らしている。
「うぅーん、起きますか。」
少女は大きく伸びをし、のんびりと立ち上がった。
彼女の名前は山本彩未。
小さな村にある診療所をやっている医者夫婦の一人娘だ。
この村にはたった一つだけしか診療所はないため、いつも診療所は患者で一杯になっていた。
そのため彩未はまだ十二歳の子供だが、毎日診療所を手伝いをしている。
最初のコメントを投稿しよう!