第一章:夢の始まり

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(ぁ…み、……やみ) ……私の…私の名前を呼ぶ声が聞こえる。 悲しみと愛しさが入り混じったような切ない声…。 ―私はこの声を知らない。 ――ジリリリリリッ、ぱん 「ふわぁ~、よく寝た」 少し癖のある明るい茶色の髪と、パッチリとした目が印象的なまだ幼さの残る顔立ちの少女。 窓からは日が差し込み、彼女の部屋全体を照らしている。 「うぅーん、起きますか。」 少女は大きく伸びをし、のんびりと立ち上がった。 彼女の名前は山本彩未。 小さな村にある診療所をやっている医者夫婦の一人娘だ。 この村にはたった一つだけしか診療所はないため、いつも診療所は患者で一杯になっていた。 そのため彩未はまだ十二歳の子供だが、毎日診療所を手伝いをしている。
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