第一章:夢の始まり

4/13
前へ
/172ページ
次へ
「「いただきます」」 「はい、どうぞ召し上がってください」 今日の朝食は目玉焼きとトーストである。 彩未の大好物だ。 しばらくして隆盛は読んでいた新聞をたたむと、彩未に話しかけた。 「彩未、今日はちょっと仕事で遠出をしなくちゃならないんだ。着いてきてくれるか?」 「うーん、もちろんいいよ」 彩未は器用に目玉焼きの白身と黄身み切り離しながら答えた。 「ごめんね。本当は私が行けたらいいんだけど、診療所を空けるわけにはいかないから」 すまなそうに言う美代に対して彩未は気を遣わせないように明るい声で返した。 「うん、わかってるよ。こうやってお仕事の手伝いさせてもらってるおかげで、沢山見たりやったり出来るから楽しいの。 それに私も将来医師を目指してるしね」 彩未は子供なのでまだ簡単な治療などしかさせてもらえないが、両親が治療する現場を見て沢山の知識を得ていた。 それは将来医師を目指す彩未にとって、とても楽しいことであった。 「本当に彩未は頼もしいわね。流石私たちの娘だわ。きっと良い医者になるんでしょうね」 そう言って美代はくすっと微笑み彩未の頭を撫でると、彩未は気持ち良さそうに目を細めた。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加