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ガタンーー。
無人であるはずのキッチンから物音がした。
最初は気のせいかとも思ったが、その音は明らかに物色しているもので…
もしや空き巣か!?
空いてないよ、寧ろ今家にいるんだけど
てか何で私の家にくるんだ
口内だけで愚痴を零しながら、タンスの横に立てかけてあった布団叩きを手にして、ゆっくりキッチンへ向かう。
廊下を歩くと古いアパート故にミシミシやらギシギシと音が多少なり鳴ってしまう事で私の心臓は無駄に激しく鼓動を繰り返す
やっとの思いでキッチンへと到着し安堵の溜息を漏らす。
その溜息さえも侵入した誰かに聞こえてしまうんじゃないかと不安になったりもしたが気付かれていないようで息を殺しながらキッチンの入り口から中を覗くと案の定、ホームレスに近い男が冷蔵庫を漁っていた
見た目は中肉中背と言った所だろうか。
手当り次第、冷蔵庫の中のモノを口に一心不乱に詰め込んではキンキンに冷えている麦茶を飲む
そんな姿を見て私は呑気にも、散らかさないでと心から思う
一心不乱に食べている割に口から食べたモノが飛び出ていて、食べてるのか口から出してるのか、どちらとも言えない食いっぷりの男が哀れに思えてくる
そんなに食べる事に困ってるのか
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