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― 遼平が少しずつ瞼を開いていくと、視界にメガネをかけた若い男性の姿があった。男はパソコンをいじりながら遼平が目覚めたことに気がつくと
「ゲームオーバーだね。」と言い遼平に向け笑いかけた。
―ゲームオーバー?―
何のことか解らず、キョトンとする。遼平は混乱する頭で必死に思いだそうとする。
― 俺、たしかノコ刃で切られたはずじゃ… ―
お腹をさすってみる。ちゃんとつながっている。傷も痛みもない。その様子を見ていたメガネの男は笑いながら
「大丈夫だよ。ちゃんとつながってるよ。まだ状況が飲み込めていないって感じだね。それだけリアリティがあったということだから、こちらとしては嬉しい限りだけど。」
そう言うと男は遼平の身体に付けられた器具をはずした。遼平は自由になった身体を起こし、辺りを見回してみる。どこかの研究室らしいその部屋には、先ほど話かけてきた男以外に女性が一人と男性が二人おり何やら話込んでいた。
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