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(ガンプラ・バトルか……)
久しぶりに、何か熱くなれるものを見付けたかもしれない。
凛は心中でそう独り言ちると、清々しさの感じられる面持ちでステージの中心に戻っていった。
「イベント終了お疲れ様、二人ともよく頑張ったな」
恭介は後部座席に座っている二人を笑顔で労う。
すっかり夜の帳も降りきった首都高速を駆け抜けていく車内で、卯月は穏やかな表情で幸せそうに寝息を立てていた。
「うん、プロデューサーもお疲れ様。裏方きつかったでしょ」
「まあな、だけどこれからお前達が有名になろうとしてるのに、俺がサボってたらダメだろ」
幸い栄養ドリンクはまだまだあるからな、と苦笑しつつプロデューサーは星型のオブジェがキャップの上に直立している栄養ドリンクの空き瓶を掲げてみせる。
「……いつもプロデューサーには感謝してるよ。……ねえ、一つ聞いてもいいかな」
「何だ?」
「ガンプラについて、色々教えてもらってもいいかな。面白かったから」
凛は穏やかな微笑を浮かべつつ、プロデューサーを上目遣いで見詰めた。
「はは……良いよ。何でも聞いてくれ」
「ん……ありがと」
凛はそう言うと、僅かに頬を紅潮させ、テールライトの光が尾を引く夜道に視線を映した。
今ここに、また一人の新たなガンプラビルダーが生まれようとしていた。
Prologue. 完
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