Prologue.

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時に、西暦2019年。少しだけ科学が発達している日本では、空前絶後のガンプラブームとアイドルブームが巻き起こっていた。 お台場の大地に18メートル……実物大のRX-78-2「ガンダム」が立ってから実に8年。 今再び、お台場の大地にガンダムは姿を現していた。 新たに建造された実物大サイズの模型……ガンダムより背が高く、白と黒のツートンカラーが特徴的な機体、実物大RX-93「νガンダム」の隣に、実物大ガンダムは立っているのだ。 その二体の足元では、数万人の人々が設営された巨大なステージを囲んでいる光景があった。 地球連邦軍の制服を模した衣装に身を包んだ少女二人がステージ上で観客に笑顔を振り撒くと、万雷の歓声が沸き上がった。 『それでは、ニュージェネレーションズのお二人に、ガンプラ作りを実践して貰いましょう!』 地球連邦軍の制服を再現した服に身を包んだ司会が、マイク片手に声を張り上げる。 アイドル達のファンからすれば次の曲目が始まるまでの「繋ぎ」に過ぎないMC企画だが、このイベントでは寧ろこれが本領と言えた。 長い黒髪と翡翠色の瞳が特徴的な、落ち着いた雰囲気を纏う少女――渋谷凛は用意された椅子に座ると、机の上に置かれていた箱に手をかける。 「これって、有名なファーストガンダムですよね。とても格好いいです」 凛は微笑を浮かべながら、ファンに向けてそう言った。 凛の向かい側に座り、朗らかな笑みを浮かべている長髪の少女、島村卯月が持っているのはライバル機に当たる「シャア専用ザクⅡ」だった。
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