Prologue.

3/8
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「はい、今から渋谷さんと島村さんのお二人にはガンプラを作ってもらって、それから『ガンプラ・バトル』をしてもらいます!」 凛と卯月が箱を開け、ランナーが封入されている袋を取り出し始めた辺りで司会者が高らかに宣言する。 ガンプラ・バトルとは自分が作った「自分だけのガンプラを操り、仮想空間上で戦う」というゲームであり、ガンプラブームの火付け役になった存在だ。 そのブームは今でも衰える事を知らず、全国のゲームセンターや模型店は無数のプレイヤーで溢れ返っている。 「接着剤とか使わなくて良いのかな?」 ニッパーでランナーからパーツを切り出しつつ、卯月は台本通りに凛へ問い掛けた。 「うん。スナップフィットっていうのが使われてるから、基本的に接着剤はいらないみたいだね」 台本に書いてあった通りの台詞を凛は口にするが、実際ガンプラの出来は他のスケールモデルよりもずば抜けているだろう。 シリーズ初期の物は厳しいところもあるが、最近の物は何もせずとも殆ど完璧な色分けや驚異的な可動範囲を誇っている。 「そうなんだ!それに、私達でも簡単に作れるってすごいなぁ」 凛達が作っている、1/144スケール……主にHG(ハイグレード)と呼ばれているガンプラは、基本的にパーツ数を抑えて初心者や子供にも作りやすい仕様にしている物だ。 中にはパーツ分割がとても細かいガンプラも存在するが、それだって説明書通りに作ればきっちり出来上がる。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!