Prologue.

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敷居こそ低いが、架空のロボットを模型にしている事からそれをどう表現するかは千差万別であり、天井は果てしないのもまた一つの魅力だろう。 凛と卯月の晴れ舞台を舞台袖から眺める青年は、スクリーンに投影されている「ガンプラ・バトル」のPVを横目で見遣り、技術の進歩を実感する。 それは過去に開催された大会の映像を切り貼りしたものであった。 広いスクリーンの中を、凛達が歌う主題歌をバックにして様々なガンプラが駆け抜けていく。 ガンプラ・バトルのプレイヤーは公式にガンプラビルダーと呼ばれているが、彼らを超えた製作技術と操縦技術を持っている者は「ガンプラマイスター」と呼ばれ、多くのプレイヤー達にとって超えるべき壁であったり、目標や憧れの的になっている。 有名な「フォーエバーガンダム」と「ビギニング30ガンダム」が切り結ぶ映像が流れたかと思えば、増加装備を纏い、漆黒に彩られた「Sデスティニーガンダム」と、様々な追加装備を携える「ガンダムエピオン改」が激突、火花を散らす。 『さあ、お二人の組み立てが終わったみたいです!では早速、試合に移りましょう!』 青年、一条恭介……凛と卯月のプロデューサーである――がPVに見入っていると、司会が組み立ての完了を告げた。 『負けるつもりはないからね、卯月』 『私もだよ、凛ちゃん』 互いに短く言葉を交わした凛と卯月が、それぞれのガンプラを片手に、ステージ脇に設置されている筺体――「Gポッド」に乗り込んでいく。
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