Prologue.

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今、一つの戦いが始まろうとしていた。 「……なんか、意外とシンプル」 筺体の中にはそれこそ様々なレバーやボタンがごちゃごちゃと配されているのかと想像していた凛は、Gポッドの簡素な内装に驚いていた。 レバー二つにフットペダルが二つ。これである程度自由に仮想空間上のガンプラを操れるのだから技術の進歩は凄まじい。 凛は備え付けられていたヘルメットを被り、スキャナーに「ガンダム」をセット、スキャナー脇のスリットにICカードを差し込んだ。 程なくしてスクリーン上に凛のパイロットデータとガンプラのステータスが表示され、出撃待機に移る。 (ほんとにガンダム動かしてるみたい) この前テレビでやってたガンダムの主人公は何やらキーボードを叩いていたが、残念な事にこのGポッドにキーボードは備えられていないみたい――凛が茫洋とステージの詳細に画面が切り替わったスクリーンを見詰めていると、卯月の準備が完了したらしく、間髪入れずに卯月側のデータが表示された。 そして、程なくして「あなたは一番機のパイロットとして出撃します」の表示と共に、スクリーンの映像が戦艦のカタパルトに切り替わる。 ――台本では、出撃の時に決め台詞を言うんだっけか。 カタパルトから「ガンダム」が飛び立とうとする瞬間、凛は静かな闘志を込めて口を開いた。 「ガンダム、行きます」 機体がカタパルトを滑り出すと同時に、風景がどこかの工業地帯と思しきものに変わった。
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