Prologue.

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ステージはサイド7――「ファースト」の物語が始まった場所だ。 基本的に、ガンプラ・バトルの勝敗を分ける要素は二つある。 一つはガンプラの能力であり、「完成度」というパラメータが高ければ高い程ガンプラの基礎能力は上がる仕組みだ。 もう一つは純粋なパイロットの技量であり、それにステージの条件や天候、視界、レーダーがどれだけ効くかを示す「ミノフスキー濃度」や時の運が絡んでくる。 今回はチュートリアルのようなものである為、天気は快晴で遮蔽物が少ない上視界も良好、ミノフスキー濃度はゼロという、極めて一騎打ちに向いた条件だった。 凛の対角線上に、角を付けた赤い「ザク」が降り立つ。 「行くよ、卯月」 凛は即座にビームライフルを構え、トリガーを引く。 しかし、卯月も易々と当たってはくれない。ぎこちない足取りではあるがビームライフルを回避すると、巨大な砲筒……「ザクバズーカ」の砲口を凛に向けて発射する。 基本的な操作は事前にプロデューサーから習っている――凛はサブトリガーを押し込み、バルカン砲を連射して砲弾を撃ち落とすと、ビームサーベルを引き抜き、卯月へと肉薄する。 「落とすよ」 『わ、私だって負けないから!』 卯月は慌ててヒートホークを引き抜くと、凛がビームサーベルを振りかぶるのに合わせて上体を反らした。 「確かに正反対だなあ、この二人」 卯月の回避は半ば奇跡のようなものだったが、凛はクロスレンジが苦手な兆候が、対して卯月は射撃戦が苦手な兆候がある事が判った。 恭介はモニターにリアルタイムで映し出されている二人の戦いを見て、静かに呟く。
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