YEARNING

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─木場家は資産家だ。 父、母、共に大手企業のトップ。 つまり。 両者共に違う会社の社長というわけだ。 しかし、 お互いに違う系統の企業で、 家具を扱う所と、通信サービス企業。 独占禁止法は犯していない。 というか、 お互い何故に出会ったんだ? と感じる程に接点が無いように思う。 現在も、だ。 家にはやたら部屋があるのに両親が帰ってくるのは年に5~7回程度。 誕生日、聖夜、元旦、+α。 タイミングもてんでバラバラ。 家族仲が悪くはないが、これで家庭崩壊しないのが不思議だ。 無駄に大きな玄関を開けて五感のうち聴覚を完全支配したのは、 「──っく、くるなーー!!」 !! つんざくような兄貴の声。 うるさ.... 声と、物を叩くような音が聞こえる居間に向かう。 「─どーした、兄貴.... 「奏~!!帰ったかッ!」 うわっ!」 途端、でかい図体をした兄貴が丸めた新聞紙片手に俺の後ろに隠れた。
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