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「あんだよ!」
「ムシッ!」
「─は?」
「あ、ああ、あそこっ!」
あわあわと指差す方向を見ると、
....
見ると.... ....?
「なんもねぇじゃん。」
「そっ、そこだってば!」
今一度、よーーく目を凝らす。
え、
もしかして....
これ?
カーテンに付いてるものをつまみ上げる。
「─!!、なに素手でつかんでんだよ!はなしなさいっ!」
「いやいや、これ、只のバッタだから。」
しかも、たった3㎝の。
これに兄貴は奮闘していたようだ。
窓をあけて、ぽいっと逃がす。
てゆーか....
「~~はー助かった~.... 有り難う奏ぇ。」
「そんだけデカイ身体しててこんなのにびびんじゃねぇよ。」
うちの兄貴は、
ヘタレ。
むしさん一匹に逃げ惑うほどの。
「だーって、追いかけるようにぴょんこぴょんこ跳ぶんだ!こええー.... 」
本当に嫌だったようだ。
しかし、
そんなヘタレの兄も容姿にだけは天下一品。
これだけは、弟の俺も推す。
180㎝半場の長身に、
凛々しい美貌。
中身云々置いといて....
兄弟なのに俺と正反対の容姿だ。
正直、
羨ましい。
兄貴と二人で街を出掛けると決まって聞こえるのが、
“美男美女のお似合いカップルだよね~♪”
....
美男はわかるぞ。
美女ッて....
俺か?
言ってやりたい。
眼科に行けと。
ま、それをアイツ(岸川)に言ったら、
“いや、世間一般の反応よ?ソレ。”
.... と、一蹴。
超絶ヘタレイケメンの兄。
ヘタレに見合う容姿をくれてやるからその身体を寄越せ!
何度流れ星に願ったことか。
.... あ、織姫彦星バカップルにもだけど。
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