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通学路。
昨日と同じ時間の電車に乗る。
偶然じゃない。
態とだ。
同じ時間の同じ車両。
決まったところに俺の会いたい人がいる。
固定の位置でいつも何かを読んでるその人。
ほら。
もう回りの女子高生が騒いでる。
そりゃ、そうだよな。
その人はめっちゃ、格好いい。
何処かのモデルでもおかしくない。
端整な顔立ちで落ち着いたダークブラウンの髪の毛が少し目にかかってるところとか。
自動ドアの横に凭れて伏し目がちに本を読んでいる姿なんか、
様になりすぎてくらくらする。
男の俺ですらそうなんだ。
女子なんか....
そして何時もその人を横目に見ながら学校へ向かうのが俺の日課。
初めて見たときの衝撃は凄かった。
人身事故か何かで電車が遅延し、普段より人が多かった。
窮屈でどうしようもない。
そんな中、いきなり電車が急ブレーキをかけた。
勢いに抗えなくて、思わず前のめりになって、
座席に座ってる人にそのままダイブ。
慌てて謝ろうと顔をあげたら、
息を呑むような美しく、甘い顔。
“大丈夫?”
そう耳元で囁かれて。
肩に手を置かれて。
相手は男なのに。
そう思いながらもふんわり馨る香水にドキドキして。
その日から、俺はその人の虜だ。
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