YEARNING

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教室をくぐると。 「きたっ!!」 そう言うと、近付いてくる女子たち。 「おはよう。」 「おっ、おはようっ!.... ね、涼。」 なかでも、取り分けカワイイ理菜ちゃんが話し掛けてきた。 あ、リップグロスがいつもと違う.... 「なぁに?」 「..... 今日、昨日買ってきたワンピース着てみたんだぁ。.... どうかな?」 友達に同意を求めるようなそれじゃない。 完全に異姓を意識したような物言いだ。 私も悪い気はしない。 イイニオイのする子は好きだしね。 「──可愛いよ。」 「っ、ほんとっ?」 でも、 「うん。」 あの子には、叶わない。 「嬉しいっ.... .... 」 白い顔を桃色にして去っていった。 そう、 私が恋したのは、 一人だけ。 「─あーあ、馬鹿みたい.... 。」 だけど、 会話すらしたことないし。 違うか、 一瞬だけ、あったなぁ.... いきなり、倒れこんでくるんだもの。 驚いちゃうよね。 .... ま、私はそこで完全にハマっちゃったワケだけど。 「責任とってよねー.... 。」 笑いながら、唸るように呟いた。
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