家族が欲しかった……

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そう思っていたのに。 お父さんお母さんと話かけるたびに、お母さんはおかしくなっていって……とうとうお母さんはお父さんを殺してしまって……自分自身も殺してしまった。 違った。 悠太と美春も違った。 本当のお父さんとお母さんはどこにいるんだろう? 何であたしにはお父さんとお母さんが居ないんだろう? あたしが欲しいのは、あたしを愛してくれる家族。それだけなのに……。 ソファーで横になり、眠りながら思う。 今度こそ……本当のお父さんとお母さんが迎えに来てくれますように。 本当のお父さんとお母さんがあたしのことをちゃんと見て「愛してる」と言ってくれますように。 今度こそ、今度こそ……。 祈りながら、願いながら、ゆっくりと目を閉じていった――。
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