家族が欲しかった……

8/10
前へ
/10ページ
次へ
それからずいぶんたって、目を覚ました時、知らない人たちが家にいた。 啓太と名乗る男。 修と言う息子とその妹。体の弱い母親。 もしかしたら……お父さんとお母さんが迎えに来たの? あたしの本当のお父さんとお母さん。 でも、そうしたらその子たちは何? ――いらない。その子たち……すごく邪魔。 お父さんとお母さんにはあたしだけが居ればいいの。 そうずっと二人に言い続けていたら、ある日、お父さんが崖から飛び降りた。 お母さんが泣きながら言っていた。 「仕事が行き詰まっていて……幻聴が聞こえるって言っていたから……」 ああ、きっとあの二人……あの子たちのせいで、お父さんは死んじゃったんだ。 何故だか、そんな風に思えて……あの二人が憎くて憎くて……。 二人を睨み続けていたら、今度は二人が居なくなった。 ああ、ああ。お母さん。これであたしの方を見てくれるよね。 お母さん。泣かないで、こっちを見て。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加