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それからずいぶんたって、目を覚ました時、知らない人たちが家にいた。
啓太と名乗る男。
修と言う息子とその妹。体の弱い母親。
もしかしたら……お父さんとお母さんが迎えに来たの?
あたしの本当のお父さんとお母さん。
でも、そうしたらその子たちは何?
――いらない。その子たち……すごく邪魔。
お父さんとお母さんにはあたしだけが居ればいいの。
そうずっと二人に言い続けていたら、ある日、お父さんが崖から飛び降りた。
お母さんが泣きながら言っていた。
「仕事が行き詰まっていて……幻聴が聞こえるって言っていたから……」
ああ、きっとあの二人……あの子たちのせいで、お父さんは死んじゃったんだ。
何故だか、そんな風に思えて……あの二人が憎くて憎くて……。
二人を睨み続けていたら、今度は二人が居なくなった。
ああ、ああ。お母さん。これであたしの方を見てくれるよね。
お母さん。泣かないで、こっちを見て。
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