家族が欲しかった……

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みんな居なくなっちゃったけど、あたしが居るから。 お母さんお母さんお母さん。 でも、お母さんもどこかに行ってしまった。 どこかから聞こえる声。 「旦那さんに続いて、お子さんまでだもの……。後を追いたくなるのも……」 お父さんお母さん。 違った。本当のお父さんとお母さんじゃなかった。 本当のお父さんとお母さんなら――あたしを置いて行かないもの。 いつになったら、お父さんとお母さんは迎えに来てくれるの? そんなこと思っていたら、ある日やって来たのが――悠太と美春だった。 「誰も……何も知らないところで一からやり直そう」 悠太がそう言った。 「でも、椿ちゃんは許してくれないと思う……」 美春がそう言った。 椿? きっと、それは私の名前。 そうだ、きっとこの二人があたしの本当のお父さんとお母さんなんだ!! あたしを名前で呼んでくれた……本当のお父さんとお母さん。
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