47人が本棚に入れています
本棚に追加
みんな居なくなっちゃったけど、あたしが居るから。
お母さんお母さんお母さん。
でも、お母さんもどこかに行ってしまった。
どこかから聞こえる声。
「旦那さんに続いて、お子さんまでだもの……。後を追いたくなるのも……」
お父さんお母さん。
違った。本当のお父さんとお母さんじゃなかった。
本当のお父さんとお母さんなら――あたしを置いて行かないもの。
いつになったら、お父さんとお母さんは迎えに来てくれるの?
そんなこと思っていたら、ある日やって来たのが――悠太と美春だった。
「誰も……何も知らないところで一からやり直そう」
悠太がそう言った。
「でも、椿ちゃんは許してくれないと思う……」
美春がそう言った。
椿?
きっと、それは私の名前。
そうだ、きっとこの二人があたしの本当のお父さんとお母さんなんだ!!
あたしを名前で呼んでくれた……本当のお父さんとお母さん。
最初のコメントを投稿しよう!