ドクター&ウルフ―幼少時代(日常)―

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「…・・・ちょっと待て、どこにそんなもんが」 「くろーぜと?」 「クローゼットにこんなもん入ってるわけないだろう」 「でも、入ってた。おれ、これでいい」 どうして、俺のクローゼットから、出てくるんだ。 女の子が着る服で、しかもこの国では手に入らないものだ。 そう、たしか南国の国の服で、キャミソールだったか。 ズボンは普通に、正真正銘俺のものだったが。 だいたい、犯人の目星はついている。あとで、文句言いに行ってやる。 それにしてもだ。 「それじゃ寒いだろう」 「寒くない!おれ、狼!これでちょうどいい!」 「ああ、そういわれれば、そうだな」 一見して人間なアルフレドだ。つい狼であると忘れてしまう。 銀のフサフサの耳と尻尾を眼中にいれなければだ。 まあ、本人がそれでいいのならば、俺は何も言わない。 後に、ここで注意しとけばよかったと、後悔することになるのだが。 今の俺には、そんなこと知る由もなかった。
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