北方戦線夏期攻勢1944年

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 とある戦線……。私の所属する中隊は、北方軍集団の攻勢の最前列として敵地の真っ只中を進むシャルンホルスト戦闘団ーー第13機甲連隊のシャルンホルスト帝国軍大佐の指揮下にある第13機甲連隊と第3装甲擲弾兵連隊、第5擲弾兵連隊、そして、戦闘工兵一個大隊からなるーーの戦闘を突っ走っていた。  私の搭乗する50口径長75ミリ砲搭載の六号中戦車F型は凹凸の激しい荒れ地をものともせず突き進む。その後ろを擲弾兵を満載にした装甲ハーフトラックがついてくる。装甲ハーフトラックは、12ミリ機関銃によって武装されていて、それに搭乗する擲弾兵たちは歴戦の戦友バウアー短機関銃やブラウンライフルを手にしている。  私はコマンダーズハッチから上半身を外にだし、索敵のため草原を見渡した。ハッチの外は危険だが索敵を怠り、戦車と心中するのはごめん被りたいのだ。  辺りには草原が広がっていて、山林が見える。  辺り一面に広がる草原は冬になると雪原に変わり、車両の運用はほぼ不可能になる。もう戦争が始まって三度の冬が過ぎたが、我々は未だに極寒の環境を克服できずにいた。私も昨年の冬に前線にいたが、降雪のため補給が途絶え燃料がなくなり、しょうがなくバウアー短機関銃を手に歩兵の真似事をしたものだ。
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