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声が聞こえる。
「畷田(なわてだ)このくらいの明るさが1番良いんじゃないか?モニターチェックしてくれ。おいそこの1年生、温かい飲み物を買ってきてくれ。領収証を忘れんなよ」
砂場の脇には柳の木、その木の下のベンチに集まる若者数人を青色の薄暗い照明が照らしている。
白い浴衣姿の女がベンチに座り、乱れた髪を前に垂らしたまま、紺色の男物のコートを後ろから長髪の痩せた男に掛けられた。
「畷田くん、もう無理、凍えちゃうから」
彼らの顔ぶれと撮影器具を見ると、どこかの大学の映画サークルの撮影現場に出会したらしい。
「ヒャッ、コンビニの兄ちゃん。学生ってのは呑気で良いよなぁ」
つつじの木の前で足を止めていた、ヨレヨレのスーツが振り返った。
「‥‥‥」
「お前の年じゃ解らんだろうが、俺にもあんな頃があったんだ‥‥ウエッ、夢に向かって仲間とけんけんがくがく‥‥ウエッ‥‥でもだぞ、現実なんてもんは ウエッ ウエッ 」
ヨレヨレは冷たい枯れた芝に膝をつき、そのあとだらしなく横になった。
なぜだか、泣いている。
そして、口からドロドロドロドロと、嫌な物を吐く。
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