通学路

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僕は勉強が苦手。 この学校は、勉強好きしかいないようなエリート学校。 中学の時に無理をしすぎた。 やっとの思いで入った一流校で、常に一番下にある名前は大村進。 運動も苦手。 顔は普通。 性格も普通。 帰宅部。 正直、モテる要素はない。 でも、モテる要素がなくても、恋をする資格はある。 こんなことを言うんだから、『こいつは恋をしているんだろう。』っていう察しがつくだろう。 そう、恋をしている。 名前は、知らない。 一度だけ話したことがある。 通学路でいつも会う同年代の女の子。 ある日、僕はいつもバッグにつけている大きめのお守りを道に落とした。 次の日、彼女は僕に渡してくれた。 毎日すれ違う特徴的なお守りに見覚えがあったのだろう。 嬉しかった。 話したのは、ただその時だけ。 いつも見る彼女に声を掛けようとは思わない。 あの日から言葉は交わさないが、目で挨拶するようになった。 『恋』っていう表現はどこか違うかもしれない。 でも、毎朝登校するこの時間が、ただただ幸せなんだ。
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