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今日は休みという事で、私は外に出た。
気分転換になれば良いのだけれども、行く所もない。
私は唯々歩き回った。
時間が過ぎ、もう夜になる。
私は商店街をすり抜け、薄暗い裏道に入った。
ここは近道になるのでよく通る、いつもの道だ。
夜で暗く、人が全く通らない所なので少し恐怖心があるが、私はいつもの事と思いながら歩いた。
裏道の中間地点に着くと、何やら怪しい人がいる。
いや、人というよりも・・・お店?
占いのような、紫色の布を掛けたテーブルに、ローブのような物に身を包んだ人。
看板の様な物には、『何でも屋』と書かれていた。
何でも屋?
今時そんなのあるんだ。
てか、あの見た目じゃ誰も来ないでしょ?
それにこんな裏道誰も通らないし。
私は少し気味悪いとも思ったが、見ないようにそこの前を通り過ぎた。
すると、後ろから声をかけられた。
「お嬢さん、寄っていきませんか?何かお困りでしょう?」
そう言った男の声は、とても綺麗で美しかった。
私は振り返り、その人を見る。
ローブに包まれていて顔は見えないが、口元だけ見える。
とても綺麗で、羨ましとさえ思った。
どんな人なんだろう?
あれだけ美しい声の持ち主だから、きっと美しい顔立ちなんだろうな。
私はそんな事を考えながら、いつのまにかその人の前まで来てしまっていた。
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