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「兄ちゃん!」 「奏!元気か~?」 「誰。この人」 「…」 「うそうそ、可愛い小学生のちょっとした冗談じゃん!久し振り、藤岡。そんな般若みたいな顔してないでさ、もっと人生楽観的に生きた方がいいよ?そんなんじゃ絶対早死にしちゃうよ。あ~やだやだ、これだから冗談通じない大人って嫌なんだ、頭がお堅いっていうか」 部屋に入ってきたのは、弟の奏だ。奏はまだ小学5年生だとは思えないほど饒舌、というか屁理屈野郎だ。顔は母さんに似たのかとても女顔で綺麗な黒髪をなびかせながら、今後の発育が期待できるすらりとした手足を、シャツから覗かせていた。 「奏も相変わらずだな~」 そういう喬介の笑顔は怒りに溢れているが、この二人はなんだかんだ仲がいいので俺は気にせず、奏に話しかける。 「どうした?」 「昼御飯できたって。藤岡も食べていくんでしょ?」 「食べてく、食べてく」 「全く図々しいったら 「はいはい、奏くんは藤岡兄ちゃんと一緒に食べましょーねー」 「ちょっと子供扱いしないでくれる!」 奏は年上でも呼び捨てにする。子供ならではかと思ったが本人はどうやらわざとしている。が、まあ、何故か呼び捨てにされている本人たちが気にも止めていないのでそれもまたスルーすることにした。
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