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朝、目を覚ますとまず最初に、写真が目に飛び込んできたおかげで、ばっちりと目が覚めた。
最愛の彼女と二人で撮った写真。
【みなと!写真撮ろう!】
【いきなりなんですか?】
【りんこ、この桜の木背景で、よろしく!】
【おっけー!はい、くっついてくっついて!いくよ~】
1ヶ月前の入学式の日だ。僕が二年生になって、新入生の顔を見ながらドキドキしていたとき、1つ先輩の白(ましろ)さんが僕の手を引いて、新入生以上にウキウキしながら写真を撮ったんだ。
「かわいいな」
ボソリと呟いて、ベッドから降りる。おはよう、と声をかけて、写真に挨拶する自分に苦笑を漏らしてから近くにおいてあった携帯を手にする。
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新着メール:1件
送信者:藤岡喬介
件名:いま暇?
本文:これから遊ぼうぜ。
慌てて受信時間を見る。今から30分前だった。俺は、アドレス帳を開いて藤岡喬介の文字を出し、電話をかけた。
『もしもし?』
『ごめん、今起きたんだ』
『相変わらず朝苦手だな。ところで今からお前ん家行っていい?』
『…別にいいけど』
『じゃあ行くから、顔洗って待っておけよ!』
『…それはどんな意味で受けとれば』
『じゃあな~』
そこで電話は切れた。ツーツーと虚しい機械音の鳴る携帯電話を見つめながら、少し笑みをこぼす。
藤岡喬介の言った通り、顔を洗いに部屋を出た。
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